【活動レポート】スキル講義「ユーザーヒアリングの極意」

2026.10.06

9月9日(水)、FuJI:AIの講義がオンラインで開催されました。講演のテーマは「ユーザーヒアリングの極意」。講師を務めたのは、就職して社内新規事業を手掛けてきた「社内起業家」であり、株式会社ユニッジを起業して代表取締役Co-CEOに就任するなど「起業家」としても活躍している土井雄介氏です。

自らも起業しながら様々な新規事業に携わってきた経験を活かし、学生に大事なことを伝えたいという思いで登壇していただきました。講義では、学生との対話を大切にしながら、ユーザーヒアリングの重要性と方法を伝えました。

講師紹介

土井 雄介氏
株式会社ユニッジ 共同創業者 代表取締役Co-CEO / 株式会社アルファドライブ プリンシパル 新規事業経営ESG 責任者 兼 東海拠点長 / 株式会社アルファドライブ静岡 代表取締役社長

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東京工業大学大学院卒業後、愛知の自動車メーカーに入社。改善支援業務、役員付き特命担当を担当。並行して、社内新規事業制度を共同立ち上げ。起案者としても2年連続事業化案件に採択。その後、社内初のベンチャー出向を企画し、AlphaDriveの創業期に参画。帰任後、社内から事業を生み出す仕組み作りを実施すると共に、UNIDGEを共同創業。2023年より社内初の「若手社長出向」としてUNIDGE Co-CEOを経て代表取締役に就任。同時に、株式会社アルファドライブのプリンシパルとして新規事業経営ESG責任者、東海拠点長を担う。その他、株式会社ユーザベース CEO室。株式会社SUMESHI 社外取締役。累計90社以上の企業支援に関わり、年間100本以上の講演、審査員としても活動。

事業は「顧客課題」から生まれる

講義冒頭では、起業を目指す上で最も重要な点は「顧客課題」と「仮説検証」だと力強く語りました。

そもそも、事業の正しい立ち上げ方とは何か。どんなにAIを上手く使っても、やりたいことをやっても、「顧客と課題がなければ事業は生まれない」と断言しました。

では、なぜ顧客課題が大事なのでしょうか。その答えを学生との対話の中で徐々に明らかにしていき、事業が成り立つ仕組みを紐解きました。

事業とは、商品やサービス、組織などを手段として収益を創出する活動です。その収益は顧客によってもたらされるものであり、収益が生まれるのは顧客の課題が解決された時です。

土井氏は「まだ解決されていない課題こそが新規事業の種」だと語り、顧客課題を見つけることの重要性を伝えました。

議論やAIでは見えない「事実」を掴む

土井氏は改めて「新規事業開発とは顧客課題と仮説検証をひたすら繰り返すこと」だと強調し、仮説検証の流れを解説しました。

仮説を考えて顧客に検証し、その結果によって修正を行い、次の仮説を立てます。このサイクルを300回繰り返すことで本当の顧客課題が明らかになるといいます。

仮説は事実と推察によって生まれます。特に大事なのは「事実」です。しかし、どれだけチームで議論を重ねても、AIと壁打ちしても、事実は見えません。

事実を得るために必要なこと。それこそが「ユーザーヒアリング」なのです。

すでに自ら動いている顧客を探せ

ユーザーヒアリングの重要性がわかったところで、ついに講義の本題である「ユーザーヒアリングの極意」の伝授が始まりました。

顧客課題にも「Must have(絶対に必要)」と「Nice to have(あればいいなぁ)」の2種類あります。見つけるべきは前者です。加えて、ヒアリングすべきユーザーとは「すでに課題の解決に向けて一定行動している人」だと伝えました。

さらに、顧客を絞り込む「顧客セグメント」という考え方を解説しました。これは「AかつBかつCかつDの状況においては必ず〇〇の課題が発生する」のように、条件を具体化することです。

例として「医療機関」が顧客、「患者とのコミュニケーションがアナログで時間がかかる」ことが課題とします。この顧客課題を2つの異なるシチュエーションで紹介しました。

ひとつ目は一般病院の救急科の医者と患者、ふたつ目は一般診療所の小児科の看護師と患者。どちらも患者とのコミュニケーションの課題ではありますが、顧客像は大きく異なります。

また、ユーザーヒアリングに至るまでには、アポ取りの行動ができない課題もあります。これも、顧客が「具体的な人(バイネーム)」になっていないことが原因です。

土井氏は、バイネームにできれば出会う方法を考えて会いにいくだけだと説明し、「皆さんには顧客アプローチリストを作って顧客を洗い出してほしい」とアドバイスしました。

真の課題を掘り起こすヒアリング術

土井氏は、注意すべきは顧客に嘘をつかせてしまうことだと語りました。「〇〇で困っていないか」「〇〇があったら嬉しいか」のような聞き方は相手の回答を誘導してしまっており、顧客は無意識のうちに嘘をついてしまうそうです。

ヒアリングにおける大前提として、事実をベースに検証を進める必要があります。効果的なヒアリングを行うためには5W3Hを活用して「具体的に」聞き出すことが必要だと強調しました。

では、どこまで具体化すれば課題が明らかになるのでしょうか。土井氏は、AI予測を使った調剤薬局向けの置き薬を社内新規事業として立ち上げた知人の例を紹介しました。

当初表層的な課題として捉えていた「薬剤師の人不足」から、「稀に発注される薬の需要が読めず、他店舗に取りに行く必要がある」という具体的な課題が見えてきたそうです。これは実際の現場を確認したからこそ得られた気づきであり、事実をベースとした検証が行われていたといえます。

解像度を極限まで高める、顧客リストアップ

後半のワークは、ヒアリングしたい顧客をリストアップ。ヒアリングしたい顧客像と内容を明確化しました。

土井氏は「もしこのリストアップが上手くいかないなら、まだ具体的な顧客が決まっていない」と語り、自らワーク中の学生を見て回りながらアドバイスしていきました。

ワーク後には、ここまで伝えてきた「ユーザーヒアリングの極意」を振り返りながら、土井氏自身の経験から「たくさんの人にヒアリングするよりも、ひとりの困っている人の話を聞く方が多くを得られることもある」と伝え、練習あるのみだと励ましました。

まとめ

今回の講義では、ユーザーヒアリングの重要性と、有効なヒアリングの方法を学びました。

土井氏は、仮説検証を進めていくと当初のアイデアは原型も留めないくらい変わるものだと語り、それでいいのだと伝えました。

講義を終えた学生からは、「企業を絞ってアポを取りたい」「積極的にヒアリングに行きたい」「これから事業立ち上げに挑む上での覚悟が高まった」といった感想が上がっており、早速行動に起こそうとする意欲的な姿が見られました。

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