2026年2月26日、FuJIプログラム第2期の最終講義が開催されました。今回のテーマは「フロントランナーになろう」。
講師を務めたのは、株式会社UNIDGE代表でありトヨタ自動車にも籍を置く土井雄介氏です。土井氏は、トヨタ社内初のベンチャー出向を実現し、これまで累計70社以上の新規事業立ち上げや伴走支援に携わってきた、まさに事業創造のプロフェッショナルです。
講義では、「特別な才能や明確な目標がなくても、行動することで道は開ける」という力強いメッセージが語られました。特に、新入社員時代に自ら飲み会を企画し、社内ネットワークを地道に広げていった経験談には、学生たちも深く聞き入っていました。誰もやっていないことに挑戦する面白さを、自らの実体験をもって語る土井氏の姿は、まさに「フロントランナー」そのものでした。
講師紹介
土井 雄介氏
株式会社UNIDGE Co-CEO / 株式会社AlphaDrive 東海拠点長

静岡県富士市生まれ富士宮市育ち。2015年東京工業大学大学院卒業後、トヨタ自動車に入社。物流改善支援業務を行ったのち、役員付きの特命担当に任命される。並行して、社内有志新規事業提案制度を共同立ち上げ・運営。プレーヤーとしてもこの制度に新規事業を起案し、2年連続で事業化採択案に選出される。その後、社内初のベンチャー出向を企画し、2020年よりAlphaDriveに参画。多数の新規事業の制度設計/伴走支援を実施。以降トヨタ社内から事業を生み出すしくみ作りを担当すると共に、UNIDGEを共同創業。2023年8月よりトヨタ初の若手社長出向としてUNIDGE Co-CEO。同時にAlphaDrive東海拠点長に就任。その他、UZABASECEO室。寿司ベンチャー企業、株式会社SUMESHI 社外取締役。累計70社以上の企業支援に関わり、年間60本以上の講演、審査員としても活動。
マインド講義「フロントランナーになろう」での学び
やりたいことは、最初からなくていい
講義で土井氏が最も強調したのは、「やりたいことは変わって当然。強い想いも最初からなくていい」でした。土井氏は大学院で研究に勤しんだものの、自分には合わないと感じてトヨタ自動車に入社。現場改善に携わった後、社内で新規事業の創出に関わり、ベンチャー企業への出向も経験しました。さらに、自ら会社を創業しながらトヨタに籍を置くというキャリアを歩んできました。
起業家と聞くと、最初から明確なビジョンを持ち、そこへ一直線に進む人を思い浮かべるかもしれません。しかし土井氏は「事業を成功させた多くのリーダーが、初めから強い想いを持っていたわけではない」と言い、今はやりたいことが見つかっていなくても問題はないと、2期生を励ましました。

行動することで、やりたいことも、想いも見つかる
とはいえ、今やりたいことが見つかっていなくても、そのままでよいという意味ではありません。社内起業を含め、今後起業を目指すのであれば、いずれはやりたいことを見つける必要があります。そのために重要なのが、「行動」です。
土井氏は新入社員だった頃の自分に、特別なスキルはなかったと振り返りました。だからこそ、自分にできることを徹底的にやったといいます。それが、飲み会を企画すること。人を集め、場をつくるというシンプルな行動を続けることで社内のネットワークを広げ、やがて新規事業への挑戦につながりました。行動する際に意識したのは、自分のためよりも周りのため。社内で困っている、悩んでいる人の役に立ちたい気持ちが原動力だったと話しました。
フロントランナーに必要なこと
フロントランナーとして挑戦を続けるためには、とにかく物事に没頭し、他のことを後回しにしてでも手にしたいと思えるものを見つけること。そうした覚悟を持とうと、土井氏は訴えました。
土井氏自身、かつてはスキルがない中で「飲み会の幹事」などの自分にできることを必死に積み重ねてきました。その結果、振り返ったときに初めて周囲からそう呼ばれていたに過ぎないと言います。走り続けるための指針として、土井氏は以下の言葉を送りました。
- 自分のためではなく誰かのため
- 志を高く持つ
- 何事もやり切る、そして楽しむ
- いつも攻める気持ちでいよう。でも、命を大切に。

ワークと質疑応答
講義の後半には、2期生が自分自身のあり方を見つめるワークが行われました。「起業家は最初から強い信念があると思っていたが、土井さんの話を聞いて、そうではないことを知って安心した」「やっていること自体はきついはずなのに、楽しそうなところがすごい」といった感想が寄せられました。
続く質疑応答では、2期生の切実な悩みに土井氏がプロの視点で答えました。
質問:志はいくつも持っていいのですか?
回答:本数に正解はありません。なぜその行動をしているかを説明でき、自分のアクションが志に寄与している感覚を持てるかが大切。
質問:志があっても、達成するまで続ける自信がない。行動し続けるためのコツはありますか?
回答:何かを続けるのは「努力」ではなく、好きで自然に続けられるものに出会えるかがカギだと思います。合わないものを無理に続けるより、息を吸うようにできることと志を紐付けましょう。
質問:使命感はどうやって見つけるのでしょうか?
回答:一人では難しいと思います。周りに自分の思いを伝えて、フィードバックを得る。このサイクルを繰り返すうちに、自然とできあがっていくと思います。
質疑応答のあと、2期生は自身の気持ちを言語化するワークに取り組みました。ワークシートを用いて、自分の好きなことや得意なことを整理する「WILLの整理」に加え、プログラムの終盤だからこそ「FuJIで何をやり切るのか」「明日から具体的に何をするのか」を設計しました。
その後の発表では、オンライン・オフラインの双方から、「原体験を大切に、最後は納得できる事業案に仕上げたい」「審査員受けを狙うのではなく、顧客の課題を本気で解決したい」といった力強い宣言が飛び出しました。
まとめ
大きな声ではっきりと、一見すると大変な経験を楽しそうに語る姿は、まさにフロントランナーそのもの。講義の中で自身の内面と言語化に向き合った2期生からは、「思いは小さくても行動の中で育つと知り安心した」「苦しい時も嫌だと思わず、楽しむ意識を持ちたい」「結果が大事という厳しい現実から逃げずにやり抜きたい」といった力強い決意が語られました。
3月20日には、いよいよ成果報告会(最終プレゼン)が開催されます。2期生がこれまでの学びを最大限に生かし、一歩踏み出す姿を、あたたかい目で見守ってもらえると嬉しいです。
