【活動レポート】スキル講義「収支計画・事業計画」パン屋を開くなら、価格はどう決める?

2026.01.27

2026年1月8日、FuJIプログラム第2期のスキル講義がSHIPで行われました。第7回目となる講義のテーマは「収支計画・事業計画」。株式会社RePlayceの松田広大氏が講師を務めました。

事業を推進するうえで、収支計画や事業計画は欠かせない要素です。事業内容やターゲットを整理し、売上や経費を踏まえた「お金の流れ」をしっかりと把握することで、事業を継続できるからです。

高校生にとっては馴染みの薄いテーマかもしれませんが、起業を考えているのであれば避けて通れません。講義では「パン屋を開く」という設定で、オリジナルのパンの考案から販売価格、経費の整理までをパン屋のオーナーになりきって行い、実践的な学びを深めました。

講師紹介

松田 広大 氏
株式会社RePlayce 営業本部 アカウントマネージャー

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2016年に新卒で因幡電機産業に入社。FA機器やロボットの提案営業に従事し、システム構築まで手掛ける技術営業を経験。その後、「より社会のことを深く知りたい」と中小企業向けのコンサルティング会社である船井総合研究所にキャリア入社。中小製造業向けのマーケティング・DX支援を軸にした経営者コンサルティングを行い、業績向上に寄与。採用コンサルティングにも携わる。学生時代から教育に強い関心を持ち大学在学中には教員免許を取得。社会人生活を通して、キャリア形成支援や探究学習の重要性を感じ、RePlayceのビジョンに強く共感しJoin。

スキル講義「収支計画・事業計画」での学び

良いサービスを作れば売れるわけではない

講義の冒頭で松田氏が投げかけたのは、「良い商品やサービスを作れば、必ず売れるのか」という問いでした。

どれほど価値のあるサービスであっても、価格があまりに高いと顧客に選ばれません。反対に安くしすぎると利益が出ず、事業の継続が難しくなります。事業を続けるには、商品やサービスの価値と価格のバランスが重要であることを松田氏は強調しました。

つまり、販売価格と経費の差額をどれだけ確保できるかがポイントです。松田氏は、わたあめ、宅配ピザ、かき氷という身近な食品を例に出し、この仕組みを説明しました。

今回の説明の中ではこれらの中で最も利益が出るのは、わたあめであることを紹介しました。理由は、原価が安くコストが抑えられるためです。2期生は、売れるかどうかに加えて、事業として続けられるかどうかという視点で、収益構造に目を向け始めた様子でした。

さらに松田氏は、大手ファストフードチェーンのコーヒーを例に出し、大量仕入れによるコスト削減やセットでの購入による収益向上の仕組みも紹介しました。収益構造の設計こそが、ビジネスの継続性を左右することをあらためて伝えました。

数字は事業の説得力を高める

収支計画や価格設定の本質は、単に数字を並べることではなく、「事業の説得力を高めること」です。事業をするのであれば、「なぜこの価格なのか」について、根拠を持って説明できなければいけません。最近はAIを活用することによって短時間で数値を算出できます。しかし、AIが打ち出した数値を鵜呑みにするのではなく、自分自身の言葉で「なぜこの価格を設定したか」を語れることが必要であると、松田氏は力強く説明しました。

VUCA時代に必要な「新しい価値を生み出す力」

講義の中盤では、変化が激しく先の見通しが立ちにくいVUCA(ブーカ)について触れられました。知識やスキルが短期間で陳腐化しやすい中で求められるのは、新しい価値を生み出す力と、それを形にするための計画力だと松田氏は話します。

先行き不透明な時代に新しい価値を生み出すための考え方として、松田氏はPDCAサイクルを紹介。計画し、実行し、振り返り、改善する。これら4つのサイクルを回し続けることで、事業は着実に前進します。ただし、形だけのPDCAではなく、「なぜその計画を立て、結果から何を学び、次へどう繋げるのか」を考え続ける姿勢が不可欠です。

実践ワーク:最強のパン屋をつくる

講義の後半では、それまでに学んだ知識を即座にアウトプットする実践ワークとして、「最強のパン屋」をテーマにした企画づくりに挑戦しました。

ワークに取り組む前に、収支構造を考えるための基礎として「固定費」と「変動費」の違いを松田氏は解説。

  • 固定費: 売上の有無にかかわらず発生する費用(家賃、人件費、設備費など)
  • 変動費: 商品を作るほど増えていく費用(材料費など)

基礎を掴んだうえで、いよいよ2期生が「最強のパン屋」の企画に挑みました。発表では、駅前といった販売立地の設定に加え、聞くだけでどのようなパンかが想像でき、つい食べたくなってしまう商品名など、伝え方の工夫が随所に見られました。中には、移動中に食べやすいといった食べるシーンに焦点を当てたアイデアもあり、利用場面を具体的に思い描きながら、パンのイメージを膨らませていく人もいました。

価格設定や原価、1日に想定する販売個数を整理し、簡単な収支計算を行ったうえで、誰に向けたパンなのか、なぜそのパンを選んでもらえるのかを、言葉と数字の両面から説明するプレゼンテーションが続きました。

松田氏は2期生の発表を聞きながら、「なぜこの価格にしたのか」といった問いを投げかけ、数値そのものよりも、価格設定の根拠や前提となる考え方を説明できているかを重視してフィードバックを行いました。また、利益が出るかどうかにとどまらず、事業として継続できる設計になっているかという視点からのコメントもありました。

全員の発表を終えて、松田氏は「短い時間の中でパンのアイデアを考え、収支の計算まで行っており、非常にレベルが高い」とコメント。あわせて、AIを活用した視覚的な工夫など、伝え方の質が向上している点にも触れ、「昨年と比べて大きな成長を感じており、とても嬉しい」と今後への期待を示しました。

まとめ

講義で2期生は、ビジネスアイデアを考える楽しさの先に「事業は継続してこそ価値を届けられる」という重要な視点を学びました。どれほど魅力的なアイデアであっても、収支や価格を含めた緻密な設計がなければ、社会に価値を届け続けることはできません。

講義全体を通して、AIを活用しながらアイデアを形にしていく姿が多く見られました。ツールを使いこなすことで、検証や改善により早く取り組めるようになる分、今後はPDCAサイクルを回しながら事業を丁寧に磨き続ける姿勢がより一層大切になります。

2期生からは、以下のような感想が挙がりました。

「パン屋のワークを通して、数字を入れるとアイデアの見え方が大きく変わることに驚きました。最終プレゼンでは、感覚ではなく根拠を持って話したいと思いました」

「これまでアイデアだけで考えていましたが、収支や価格を考えることで、事業として本当に成立するかを初めて意識するようになりました。最終プレゼンでは、数字を使って説明できるようにしたいと思いました」

「これまでは「面白そうかどうか」だけで考えていましたが、講義を通して「続けられるかどうか」を考えるようになりました。発表ではそこも意識したいです」

数字にどれだけ根拠を持たせられるかは、ピッチにおいて重要なポイントです。今回の学びを生かし、2期生は3月の成果報告会に向けて取り組みを進めていきます。

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