10月23日、FuJIプログラム第2期のマインド講義がSHIPで行われました。第4回となる講義のテーマは「自分に勝ち続ける」。講師を務めたのは、シリコンバレーでの起業経験を経て、日本でXRアトラクション事業を展開するPotlatch, Inc代表取締役の小林大河氏です。
新卒で入った企業で築いたキャリアを手放して単身渡米した小林氏は、幾度もの失敗を経て「行動し続けることの価値」を学びました。帰国後、東京ドームシティの体験型アトラクション「XRミッション」を成功させた経験を紹介。講義では、「自分で決めたことをやり抜く姿勢」や、「行動を継続するための考え方」について語りました。
講師紹介
小林 大河氏
Potlatch, Inc 代表取締役

2015年 早稲田大学国際教養学部卒。大学では体育会漕艇部に所属し、全日本選手権6位。3年次には、留学先のアイルランドでボート部に所属し、大学選手権準優勝。卒業後、株式会社日本M&Aセンターに入社。調剤薬局業界とIT業界を担当し、最年少で年間MVP及び管理職に昇進。 ウエルシア社によるMASAYA社の買収や、JFEエンジニアリング社によるAnyTech社の買収など20件以上の実績。2020年 渡米しPotlatch, Incを設立し、資金調達。2022年、元kaleidozone社COO(Ramsekar)を招聘し、VRトレーニング事業を開始。
親の反対にあっても、信じた道に進んだ

小林氏は、小説家を志望しており文学部を目指したものの、説明会で講師が英語を楽しそうに話している姿に惹かれ、国際教養学部に入りました。大学時代は留学生との交流を通して「自分の世界をもっと広げたい」という思いを強くしたといいます。
卒業後はM&A仲介の日本M&Aセンターに就職。OB訪問で出会った先輩が「俺は金曜日が悲しい。土日は仕事ができないから」と笑顔で話す姿に衝撃を受け、「こんなふうに仕事を楽しめる人になりたい」と思ったからです。
当時、M&Aはまだ一般的ではなく家族から反対も受けましたが、「自分で決めた道だから3年は見守ってほしい」と説得して入社。最年少で年間MVPを受賞。しかし次第に「このままでいいのか」という思いが強まり、新たな挑戦を決意します。
一度きりの人生で後悔したくない 退職をしてシリコンバレーへ
やがて小林氏の中に「与えられた仕事をこなすだけでなく、新しい価値を生み出す側に立ちたい」という思いが芽生え、会社を退職。無職のまま、単身シリコンバレーへ渡りました。
退職は容易な決断ではありませんでした。お世話になった上司や社長から強く引き留められ、信頼する仲間との別れは苦しく、一晩中泣いたといいます。それでも「一度きりの人生で後悔したくない」という思いが勝り、2020年に渡米を決意しました。
しかし、時期はコロナ禍の真っただ中で、アメリカ大使館の就労ビザの発給が停止。練り上げた計画は出発前に崩れ去りました。それでも小林氏は諦めず、学生ビザを取得して現地での生活を始めました。
失敗から学んだ「ユーザー目線の大切さ」その後、日本で再挑戦

小林氏がシリコンバレーで最初に手掛けたのは、ビジネスマッチングアプリ「Tinder for Business」。LinkedInを基盤に人と人をつなぐ構想でしたが、需要が噛み合いませんでした。プロダクト開発未経験の小林氏にとって、これが最初の大きな失敗でした。
次に挑戦したアプリ開発も、技術は革新的でもユーザーの共感を得られず、成果には結びつきません。これらの失敗から小林氏は「技術が新しければ良いわけではない。必要とされるものを作ることが本質だ」と痛感。「投資家ではなくユーザーを見る」姿勢を貫くようになります。また、現地ではインドのエンジニアとチームを組み、文化を越えたマネジメントにも挑戦。率直に意見を交わせる関係づくりが、後のチーム運営の礎になりました。
シリコンバレーでの挑戦を経て、小林氏は日本へ帰国しました。現地で出会った移民の起業家たちが、母国で信頼と基盤を築いたうえで挑戦している姿に刺激を受け、「まずは自分の土台を日本で築こう」と決意したのです。帰国後は、XR(クロスリアリティ)技術を用いた新しい体験づくりに着手。代表作「XRミッション」は、現実と仮想を行き来する体験型アトラクションとして東京ドームシティで大きな反響を呼びました。挑戦を通じて、小林氏は「継続」と「環境」の重要性を改めて実感したといいます。
「自分に勝ち続ける」ための考え方

講義の後半では、テーマである「自分に勝ち続ける」に話が移りました。小林氏は、「自分に勝ち続けるとは、他人と競うことではなく、昨日の自分を少しでも超えること」と語りました。成果や結果はコントロールできないがゆえに、行動は自分で選べる。だからこそ、どんな状況でも動き続ける仕組みを持つことが重要だと話します。仲間と目標を共有したり、自ら環境を変えたりすることで、行動を止めない工夫をしています。
また、「言葉よりも行動を見ることが大事」とも語りました。どんなに立派な言葉よりも、どんな行動を積み重ねているかが人をつくるという考えからです。「成功した経営者が無名だった頃に、どんな努力をしていたのかを見るようにしている」と小林氏は付け加えました。
小林氏のオフィスの扉には「自分に勝ち続ける」と書かれた紙が貼ってあり、毎日それを目にしているといいます。小林氏は「100兆円」という一見すると突飛に感じられる目標を、神社やお寺で願い続けているといいます。こうすることで、目標を忘れずにいられるそう。「何かを達成したいよりも、何かに自分が負けたくない。自分がダサいと思えることの方がモチベーションになる」と小林氏は強調します。目標を強く意識し、自分に言い続けることで、行動を続ける力を生み出していると話しました。
「たくさん失敗しよう。そうやって、うまくいくようになる」
講義の最後に、小林氏はこれから挑戦を重ねていく高校生たちへメッセージを送りました。年齢や肩書きは本質ではなく、「世界で何を見せられるか」がすべてだと語ります。大切なのは、抽象的な夢よりも、自分が実際に作り上げた“実物”を持つこと。「たとえ小さくても、自分の力で形にした経験はどんな場所でも通用する」と力を込めました。 また、「やりたいことは自分で決めてほしい。チームで取り組むのは素晴らしいが、最終的に動くのは自分」とも語ります。大切なのは他人に合わせることではなく、自分が本気で取り組めることを選ぶことだといいます。
最も伝えたかったのは「失敗を恐れずに行動すること」。アイデアを温め続け、誰にも見せずに世に出して誰にも使われないことが最悪のパターンだといいます。「すぐに作り、すぐに出し、ダメなら次に行く。その繰り返しこそが経験値を貯める唯一の方法だ」と語りました。
まとめ
講義を受けた2期生たちは、小林氏が示した「まず行動する」「失敗を恐れず挑戦する」姿勢に強く共感していました。「言葉より行動を」「著名起業家が無名時代にした努力に学びたい」「ネガティブな感情も力に変えたい」といった声が寄せられ、2期生は「自分と向き合う姿勢」を学んだようです。今後のFuJIの講義でも、その先の起業した未来でも、自分は一番の味方であり、同時に乗り越えるべき相手。熱量を持って事業に挑み続けるマインドを得たことは、2期生の大きな力になるはずです。
