2025年10月11日、SHIPにて「FuJI ミートアップ」が開催されました。テーマは「やりたいをカタチにする力!起業に向けた“ワクワク”を繋ぎ・育てる特別な一日」。ミートアップは、2期生を対象に実施された初の取り組みです。仲間たちと一緒に、オンライン・オフラインを問わず意見を交わしながら、互いの視点や考えを深めました。
講師には、スポーツ映像分析サービスを提供する株式会社SPLYZA代表取締役・土井寛之氏を迎え、オンラインで講演を行いました。参加者は画面越しに、土井氏の経験や言葉に耳を傾け、「ワクワク」を原動力に生きることの大切さを学びました。
ミートアップについて
ミートアップは、共通の目的を持つ人々が集い、交流を通じて理解を深めるイベントです。フランクな雰囲気の中で意見を交わし、参加者同士のつながりを広げます。今回のイベントは、2026年3月の成果報告会を見据え、各チームの活動を一歩前へ進める機会として開催しました。第1部では、株式会社SPLYZA代表取締役・土井寛之氏が「ワクワク」を原動力に生きる姿勢を語り、第2部ではRePlayceが講師を務め、参加者同士がチームの枠を超えて意見を交わしました。
講師紹介
土井寛之氏
株式会社SPLYZA 代表取締役

CAD/CATソフトウェアエンジニアとして従事後、浜名湖でウインドサーフィンに出会い30歳で単身オーストラリアへ。現地の中高一貫校で第二言語としての日本語教育に携わる。帰国後、iOSアプリ開発を経験し、アマチュアスポーツマンの「もっと上手くなりたい」を叶えるため、映像を活用した「IT×スポーツ」のサービス実現にむけ2011年にSPLYZAを創業。Microsoft Innovation Award 2015やForbes JAPAN SPORTS BUSINESS AWARD 2020を受賞したほか、経済産業省 始動 Next Innovator 2016やJ-Startup CENTRALの採択を受けるなど、技術力やビジネスモデルが高く評価されている。主力アプリのSPLYZA TeamsとSPLYZA Motionは900以上のスポーツクラブをはじめ、学校教育、大学、医療機関、製造業など様々な分野で導入されている。人生のテーマは「7分の7ワクワクすること」。
「7分の7ワクワクしよう」に込められた人生哲学
20代の頃、会社員として働きながらウィンドサーフィンに夢中になっていた土井氏。金曜の夜になると「早く海に行きたい」と胸を高鳴らせ、週末の練習を心待ちにしていました。ところが、「自分は週に2日しかワクワクしていない。残りの5日は、ただこなすように過ごしているのではないか」ということにふと気がつきました。
その瞬間、「せっかく生きているのに、週末だけではもったいない」と感じたといいます。そこから生まれた問いが、「どうすれば毎日を夢中で生きられるか」でした。この問いを追い続ける中で、人生の指針となる「7分の7ワクワクしよう」という言葉が生まれました。1週間すべてをワクワクして生きたいという想いが、土井氏の人生哲学の原点になりました。
「好き」を続けるために必要なことをやる
学生時代、数学が得意で「考えること」「問題を解くこと」が好きだった土井氏。しかし、彼が本当に夢中になったのは、「答えが決まっている問題」ではなく、「解けるかどうかわからない問題」に挑むことでした。社会人になってからもその姿勢は変わらず、課題を解くことにワクワクを感じていたといいます。
会社員を辞めた後、ウィンドサーフィンに打ち込むために単身オーストラリアへ渡りましたが、当時は英語をほとんど話せませんでした。現地での生活や仕事を通して、言葉の壁に直面しながらも少しずつ乗り越えていった経験は、まさに「解けるかどうかわからない問題」に挑む日々でした。
ウィンドサーフィンの練習でも、土井氏が本当に楽しいと感じたのは、ただ技術を磨くことではなく、仲間と課題を共有し、どうすればもっと上手くなれるかを考える時間でした。思考と挑戦を重ねる過程そのものに、ワクワクの本質があったのです。この未知に挑み続ける姿勢こそが、起業へとつながりました。

起業と失敗。やがて見えた「顧客の課題」
2011年、土井氏はスポーツとITを融合させた新しい可能性を信じ、株式会社SPLYZAを設立しました。目的は、スポーツの現場で「もっと上手くなりたい」という人の思いを支えること。映像分析によって課題を見える化し、アスリートが自ら成長できる環境をつくることを目指しました。
しかし、起業の道は決して順風満帆ではありませんでした。最初のアプリ開発には、理想を追い求めるあまり3年もの歳月を費やしてしまいます。仲間全員の意見を取り入れ続けた結果、終わりの見えない開発となり、ようやくリリースしたサービスもわずか4か月で終了。「あの時は、何を作りたいのか見失っていた」と土井氏は振り返ります。 さらに、チーム体制にも課題がありました。メンバー全員がプログラマーで、作ることには長けていたものの、「伝える力」が欠けていたのです。どれだけ良いものを作っても、知ってもらえなければ意味がない。その現実を前に、土井氏は「自分たちには発信する人がいなかった」と痛感します。
土井氏はプログラマーの役割を辞め、自らPRや広報の役割を担うことを決意しました。年間100万円を交通費にあて、1年で1000人に会い続けたといいます。「とにかく人と会い、つながりをつくることが次の道を開く」と信じて行動を重ねました。こうした泥臭い努力が、やがてSPLYZAの成長を支えました。
当初は指導者向けに設計していた映像分析アプリでしたが、現場の先生から「これ以上時間がない」と指摘されたことで、問題の本質に気づきます。本当に解くべきは「指導者の忙しさ」ではなく、「生徒が自ら考える機会の少なさ」だったのです。土井氏は視点を切り替え、選手自身が主体的に分析できるアプリへと方向転換。結果、利用頻度は20〜30倍に増加し、SPLYZAは大きく成長しました。

得意なものを掛け合わせよう
講演後の質疑応答では、2期生からチーム運営や開発、PR、人脈づくり、専門性の磨き方など実践的な質問が相次ぎました。土井氏は「全員の意見を反映する必要はない。最終的に決める人を明確に」と語り、開発では「とにかく早く失敗することが大事」と強調。さらに、土井氏は「得意なことを極める」ことの重要性を強調しました。 「一つの分野で百人に一人のレベルになれたら、さらにもう一つの分野でも同じように極める。そうすれば、その二つを掛け合わせて一万人に一人の人材になれる」と語りました。突出した才能を一つだけでなく、異なる分野にも広げて掛け合わせることで、自分ならではの強みをつくることができると強調しました。

AIを取り入れ、アイデアを深化させる
第2部では、AIを実際の事業づくりにどう活かすかを学ぶ時間が設けられました。テーマは、「AIと友達になろう」で、株式会社RePlayce 松田広大氏が講師を務めました。
ChatGPTやGeminiなど生成AIが身近になった今、松田氏は「AIを完璧に使いこなす必要はなく、周囲より少し上手に使えるだけで十分」と語ります。講義では、AIを活用するための5つのポイントを紹介。「質問や指示は具体的かつ詳細に伝える」「前提条件を明確にする」「AIに役割を与える」「一度に複数の質問をせずテーマを絞る」「諦めずに対話を重ねて精度を高める」ことが重要だと述べました。
講義の後半では、ChatGPTを使ってヒアリング項目をブラッシュアップする実践ワークを実施。2期生たちはAIとの対話を通じて課題設定を磨き、その後は各チームに分かれて事業アイデアをさらに深めていきました。

まとめ
10月は、ミートアップを含め、通常講義が2本実施されるなど、2期生にとって学びの密度が高い月でした。ミートアップでは、土井氏の講義から「早く失敗したほうがいい」「なんでもできるより、これしかできない」という言葉に多くの2期生が共感しました。また、RePlayceによるAI講義では、「AIを少し上手に使えるだけで挑戦の時間を生み出せる」という学びを得て、実際にヒアリング設計や事業アイデアの磨き上げに活用する姿が見られました。
