2025年3月20日(木・祝)、札の辻クロスホール(静岡市)で最終プレゼン「成果報告会」を開催しました。2024年8月のスタートアップキャンプから7ヶ月にわたる活動の集大成として、FuJI1期生20名・12チームが新規事業アイデアを発表しました。次世代に新しい価値を生み出すイノベーターに必要な「マインド」「スキル」の両軸を醸成する本プロジェクト。その集大成にふさわしい、熱気ある1日の様子をレポートします。
イベント概要
未来を切り拓く高校生たちが挑む「成果報告会」。
7ヶ月間にわたる学びと挑戦のすべてを込めた、熱いプレゼンが繰り広げられました。
日時:2025年3月20日(木・祝)13:00-17:30
会場:札の辻クロスホール(静岡市葵区呉服町1-30 札の辻クロス6階)
開催形態:現地開催のみ(高校生・ゲストを含めた交流会あり)
発表者:「FuJI」1期生20名(12チーム)
参加者:保護者、教育関係者、県内企業の皆様など
プログラム:
・開会
・プレゼンテーション
・特別講演
・表彰式・閉会
・交流会
開会の挨拶
鈴木 康友知事による開会のご挨拶によりスタート。
知事は「昨年8月からスタートした『FuJI』の最終成果発表ということで、伸び伸びとみなさんの想いをぶつけてほしいと思っています。高校生のみなさんが、起業を学ぶのが早すぎるということはございませんので、将来の起業家を目指して頑張ってください。実り多い発表会となることを期待します。」と述べました。
FuJI概要説明
続いて、本事業を受託する(株)RePlayceの代表取締役CEO 山本 将裕 氏に、FuJIの概要について説明いただきました。アントレプレナーシップが求められる背景や国の動きを交えつつ、プログラム及び7ヶ月間の歩みをお話しいただきました。
プレゼンテーション
チーム名:Green tea girls
事業タイトル:Agentea
トップバッターはGreen tea girls。静岡茶をテーマにした事業案を発表しました。
静岡県は、茶園面積・生産量ともに全国1位を誇ってきましたが、取引価格や生産量が年々下がっている現状があること、手間暇かけて高品質な茶を作っているのにも関わらず、正当な評価をされないという課題に焦点を当てました。静岡茶の需要を高め、茶農家を救いたい!と、海外からの人気に注目しました。そこで、静岡茶の海外への輸出を支援する「茶農家ファーストの代行サービス」を考案。実際の国内販売と比較した利益率や、手間がかかる検査や書類作成など、販売までの労力を含めたコストを請け負うことで、茶農家を支援する事業内容をアピールしました。
チーム名:EkiScape
事業タイトル:EkiScape〜駅特化型3Dマップアプリ〜
続いて、山田祐輝さんが発表したのは、駅特化型3Dマップアプリ”EkiScape(エキスケープ)”というアプリです。東京駅など、広くて複雑なターミナル駅構内で迷ってしまう人がターゲット。直感的に駅を案内する一人称視点の3Dマップ、自分の居場所の認識ができるGPSを使わない新技術「SLAM」、ユーザー参加型コンテストの実施、店舗前で獲得できるクーポンを配布することで、購買力を高めるというアイデアを挙げました。事業化して、外国観光客の方々や上京したての就活生・大学生に愛されるアプリを作りたいと述べました。
チーム名:アーヴィン勝民
事業タイトル:World Wings〜ビジネス英語レベルアップをサポートするプラットフォーム〜
3番目は、TOEIC880点を誇るアーヴィン勝民さん。「英会話に自信はないが話したい」という、基礎的な英語が身に付いている高校生~大学生をメインターゲットとしたサービスを提案しました。学生からの「堅苦しくない・気軽に取り組みたい」などの声を受け、好きなことを話しながら気軽に英語を習得できる場所を提供するサービスとして、共通の趣味をもつ講師を見つけ、セッションを実施する仕組みを考案。学ぶ英語から、楽しむための英語にしたいとビジョンを語りました。
チーム名:OASIS
事業タイトル:OASIS〜キャリア教育型インターンシッププラットフォームサービス〜
OASISが発表したのは「高校生向けインターンマッチングサービス」。高卒就職の現状には、「求人票が分かりづらい」「インターンや職業体験の不足」という大きく2つの課題があることに着目し、3つのサービス展開を考えました。プロのキャリアコンサルタントによる高校生の会社選びサポート、企業のインターンシップ開催のサポート(既に7社から内諾済み)、社会人としての基本知識+専門知識を動画で学べるサービスの提供です。企業だけに留まらず自治体(静岡市・静岡県)とも連携し、サービスの利用拡大を目指すビジョンを伝えました。
チーム名:音治
事業タイトル:音痴を治す音治
趣味がカラオケの祝部さんが発表したのは「音治」というサービス。お金をかけても、音痴をなおしたい!と考える人がターゲットです。歌唱力を向上させる方法として思いつく一人カラオケやボイトレは、価格や心理的負担などハードルが高い点に着目しました。そこで、家で音痴を治すアプリを考案。具体的な機能も紹介したうえで、「歌がうまくなりたい・楽しみたい」というニーズではなく「音痴を治したい」ニーズに特化したアプリで、「すべての人が自信をもって歌を歌える世界を作りたい」というビジョンを語りました。
チーム名:わさび道
事業タイトル:廃棄わさびの世界進出
わさび道がテーマにしたのは、「わさび」。ほとんどのわさび農家さんが廃棄しているわさびの葉について、フードロスの観点から、活用方法を考えました。わさびの葉を蒸留し精油を抽出し、わさび特有の良い香りを活かしてつくるお香の商品案をもとに、お香会社に製造を依頼して、実店舗とオンラインで販売する計画です。葉の廃棄という課題の解決策に加え、わさびの需給に関する課題解決への貢献、収支計算も綿密に考えられたプレゼンテーションでした。
チーム名:My name is Karen
事業タイトル:One Heart
高齢者×学生のマッチングサービス「One Heart」を提案したのは、My name is Karen(正木花怜さん)。学生が高齢者のご自宅に訪問し、話し相手になったり、小さな困りごとをお手伝いする、家族と介護の中間に位置するサービスです。ターゲットは、若さと身体的衰えを感じているギャップシニア。正木さん自身が月に一度コントライブに出演している経験も交え、笑いと異世代交流を活かしたサービスによって、静岡県の目指す「幸福度日本一」にも貢献するアイデアを語りました。
チーム名:良本彩香
事業タイトル:Youth Guide
静岡県が大好きな良本彩香さんは、静岡の観光客をもっと増やしていくために高校生がガイドとなる、ガイドツアープロジェクトYouth Guideを考案。地元に詳しい高校生が、全力で案内してくれることに価値を見出したこのサービスは、コストも抑えられ、利用ハードルを下げる側面もあります。ガイドをすることで改めて地元の魅力を感じる高校生と、観光客がこれまで見出せなかった地域の魅力に気づくことを狙いとしました。
チーム名:PERRY
事業タイトル:PERRY〜イベント運営者がパフォーマーを直接スカウトできるプラットフォーム〜
PERRYは、自身の原体験としてパフォーマーが「人脈頼りの業界の中で活動する難しさ」という課題を解決する、イベント運営者がパフォーマーをスカウトできるアプリを提案しました。パフォーマーはアプリ上に自分のパフォーマンス動画や紹介文を掲載し、イベント運営者は依頼したいパフォーマーにオファーを出すことができる仕組みです。舞台芸術は娯楽の原点、デジタル社会だからこそ、生で見るパフォーマンスを大切にしたいという想いで、サービスをプレゼンテーションしました。
チーム名:DeadTree
事業タイトル:庭志
DeadTreeが提案するのは、庭師・造園業の教育システムに着目した「サブスク型教育動画配信サービス」です。造園業は、庭の手入れだけではなく、街で見かける壁面緑化、エクステリアや公園の遊具など様々な分野に携わっており、まさに屋外のスペシャリストだと語ります。面白くて、夢がある職業なのに、若手職人の比率はわずか。この要因は職人に対する教育の不足にあると考え、若手への学びの場を提供する動画サービスを考案しました。
チーム名:Beaconic
事業タイトル:Beaconic〜青春ダッシュ〜
高校生活をもっと豊かに楽しみたい!夢をもちたい!という高校生のリアルな願いから、Beaconicが提案するのは「高校生と静岡のスポーツチーム・企業をつなぐコミュニティ”Beaconic”」。アンケートやインタビューを通じて、将来やりたいことが分からない高校生と、学生からの視点や認知度がほしい県内企業やスポーツチーム、双方の想いを丁寧にくみ取ったプランを考えました。このプランでは応援活動などに着目し、高校生個人や学校単位では難しい越境学習を提供します。高校生と静岡の企業・スポーツチームをつなぐ新しい仕組みで、一度きりの高校生活に価値ある経験と最高の思い出を!と締めくくりました。
チーム名:西本力
事業タイトル:非日常を味わえる移動式貸切グランピング
トレーラーハウスを活用した非日常を味わえる宿泊サービス「A shelter」を提案したのは、西本力チーム。オフグリッドトレーラーハウスを用いて、一泊一組限定で自然に還れる宿泊体験を提供します。自然が大好きな二人は、自然が健康やリラックスにもたらす効果を実感してもらうとともに、自然をもっと楽しんで体験してほしいという願いから、このサービスを考えました。オフグリッドトレーラーハウスを用いた宿泊施設は、設置場所さえあればどこでも使えることが特徴です。忙しさや価格に囚われることなく、全ての人が自然と関わり合える世界を目指したいと述べました。
特別講演
講演者紹介
飯倉 清太 氏
事業型NPOサプライズ代表 / 静岡大学 地域創造学環 客員教授
21歳で飲食関係事業から起業、24歳で伊豆市へ移住し事業を展開。2008年に事業型NPOサプライズを設立し代表理事に就任。2013年からは内閣官房より任命をされ地域活性化伝道師に就任。2014年静岡大学地域創造学環客員教授、2019年からは静岡鉄道株式会社顧問就任。
講演内容
ご自身の経験をもとに、「経験に勝るものはない。行動を実験思考で」というテーマで講演。24歳のときに伊豆市へ移住し、アイスクリーム店を開業。オープン当初は売れ行きが思わしくなく苦労しましたが、数年後には1日に何十万円も売り上げる大繁盛店に。飯倉さんのユニークなキャリアと共に、行動し続け見えた世界のお話をしていただきました。
審査結果発表
最優秀賞を受賞したのは、「キャリア教育型インターンシッププラットフォームサービス」をテーマに発表したOASIS(大井 湧瑛さん、市川 煌挺さん、河邉 伯さん)。丁寧なリサーチ、企業への提案等を経て練り上げたビジネスプランは、説得力のある内容でした。表彰式では嬉し涙をこぼす場面も見られました。
このほか、優秀賞として「廃棄わさびの世界進出」をテーマにしたわさび道(勝間田 有さん、阿部 泰仁さん)、高齢者の笑顔を増やす「異世代交流サービス」をテーマにしたMy name is Karen(正木 花怜さん)が表彰されました。
最優秀賞受賞コメント(OASIS)
「長い間考えてきたプランですが、なかなか反響が得られなかった時もありましたし、つらいときも沢山ありました。企業の方にも”実現したいからぜひがんばってほしい”という励ましのお言葉もいただいて、最後までやりきることができました。本当にありがとうございました。」
審査員からのメッセージ
鈴木 康友 静岡県知事
「後生畏るべしという言葉の通り、若い世代の無限の可能性を感じる、すばらしいピッチでした。アントレプレナーシップを持ち続けて、ぜひこれから沢山の挑戦をしてほしいなと思います。新しいことへの挑戦は、どんな分野でも大事なことです。みなさんがどんな道にいっても、今日の気持ちや情熱を忘れないで頑張ってください。」
石井 芳明 氏
「12チーム皆さんの『想い』を強く感じる、とても良いプレゼンテーションばかりでした。ビジネスの型をきちんと押さえたうえで、実際に行動を起こしているのが素晴らしいです。起業家になるかは関係なく、挑戦し続けてほしいなと思います。そして何より、若い皆さんを支え、応援するのが大人の役割だと思います。行政としても引き続き応援してまいります。」
田所 雅之 氏
「原体験から得たアイデアと行動力、パッションは高校生ならではでとても素敵でした。10月に講師を務めてからほんの数カ月でここまで仕上げたのかと驚くほど、大変素晴らしい事業内容ばかりでした。起業は非常に面白いものです。これを機に、ぜひこれからご活躍いただきたいと思います。本当にお疲れ様でした!」
佐別当 隆志 氏
「ピッチを通して人に自分のアイデアや考えを伝える経験だけでも、自分の人生を変えるきっかけになるかと思います。今日まで、とんでもない量の時間を費やしてきたと思うのですが、色々な人に反対されたり、乗り越えることが多くある経験をする中で、一緒に頑張った仲間とのコミュニティも自分の資産になると思います。周りの人が困っているときに助けてあげる、ギブアンドテイクの気持ちも忘れずに、これからも頑張ってください。」
石間 涼 氏
「私はVCとして普段から多くのピッチイベントに参加させていただいていますが、今日くらい熱量が高く、心が躍るようなピッチは初めてです。貴重な経験をさせていただきました。今日は高校生の皆さんの発表ということで優しく見守るような心づもりでいたのですが、最初のチームの発表が始まってすぐ、みなさんが魂を燃やしてこの場に臨んでいることが分かりました。弊社としても、こうした取組を支援していきたいと思っています。皆さま、本当にお疲れ様でした。」
交流会
閉会後には、FuJIの1期生および審査員、観覧参加者の皆さまを含めた交流会を開催。自由に交流しながら、熱いプレゼンに対するフィードバック、意見交換や次に繋がる関係性づくり等が積極的に行われ、大盛況で幕を閉じました。
「FuJI」成果報告会を終えて
「FuJI」の1期生として参加してくれた20名の高校生たち。12チームに分かれて、これまで取り組んできた学びをフル活用した、起業アイデア・ビジネスプランをプレゼンテーションしました。地元静岡県の名産品、静岡茶やわさびをテーマにした案や、現役の高校生ならではの視点を活かした斬新な案、原体験をもとにした案もたくさん発表され、会場は熱気に包まれました。自分の言葉で、熱く大人たちへ想いを伝える姿に成長を感じ、これまで日々伴走支援してきたRePlayceのメンバーが涙する場面もありました。
まさに時代のトップランナーでもある審査員の皆さまは、各チームのプレゼンに真剣に聞き入り、社会人と学生という枠を超えたフィードバック、質問をしてくださいました。
高校生たちは、一つひとつの鋭い質問に答えながら、新しい気づきも得られた様子でした。
知事や、審査員から繰り返し伝えられたのは「起業をすることがすべてではない。将来、どのような道に進もうとも、アントレプレナーシップはビジネスパーソン、公務員、どんな職業でも必要な挑戦心である」ということです。参加した生徒たちからは、「個人や学校ではできない学びや経験をすることができ、予想していたよりも大きなものを得られた」「志の高い同世代の人達と出会えたことが嬉しかった」「自分の知らない世界を知り、たくさんの人と繋がることができた」といったポジティブな声を聞くことができました。
静岡県が開始した「FuJI」第1期は、素晴らしい成果報告会をもって、締めくくりました。
参加者アンケートより
閉会後に行った観覧参加者のアンケートでは、満足度が「5点満点中4.97点」と、非常に高い満足度をいただきました。一部をご紹介します。
「静岡県として高校生を本気で育てるプログラムを立ち上げていただいたことに感謝します。」
「大変充実したプログラムの下、高校生達が真剣に頑張っている姿に感銘を受けました。」
「息子達が高校生なので、このような取組がもっと公知され、静岡の学生にももっとリーチ出来たら嬉しいな、と思います。」
「是非、多くの県内の学生がこのような体験をして、そのスキルを持って地元企業で働いてほしい。」
「沢山の大人がこの企画に関わってくださっていたことを肌で感じました。自分達に真剣に向き合ってくださっている方がこんなにいるのだといるという事は子供達の自信に繋がると思います。子供が主人公の良い会でした。」
「想像よりしっかりしたプレゼンと事業でとても刺激/勉強になった。」
静岡県では、今後も高校生のアントレプレナーシップ育成に取り組んでまいります。
引き続き「FuJI」への応援をよろしくお願いいたします!