【活動レポート】FuJIスタートアップツアー2日目/中間プレゼン発表会

2025.01.06

スタートアップツアー1日目では、高校生たちはシリコンバレー起業家やiU大学関係者の起業家と交流する機会を持ちました。ツアー2日目は、いよいよ中間発表会です。各チームが学業と並行して積み重ねてきた調査やヒアリングの成果を形にし、自分たちのビジネスモデルを披露しました。

2日目の主要プログラム

2日目のメインイベントは中間発表です。ツアーに参加した全11チームがそれぞれ5分間のプレゼンを行い、その後、審査員による4分間の質疑応答が行われました。審査員は、起業経験を持ち、第一線で活躍する畠山怜之氏(株式会社FASHION X 代表取締役)と、日本最大級のベンチャーキャピタルでベンチャー投資業務を行っている清田怜氏(ジャフコグループ株式会社)が担当しました。

  • 10:00 - 11:00 中間プレゼン(前半)
  • 11:00 - 11:10 休憩
  • 11:10 - 12:10 中間プレゼン(後半)
  • 12:10 - 12:25 審査
  • 12:25 - 12:30 審査結果発表

審査員紹介

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畠山 怜之
株式会社FASHION X 代表取締役
福岡出身、立命館アジア太平洋大学卒業後、NTTへ入社し法人営業に5年従事。その後、サービス開発部門にて株式会社バカン(J-startup)への出資および出向。同社の九州拠点立ち上げや全社マーケティングを3年半行い、NTTへ帰還。帰還後は経営企画部にて中期経営戦略推進に従事した後、2023年7月株式会社FASHION Xを創業。

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清田 怜
ジャフコグループ株式会社 投資部
2014年4月に同社入社後、現在に至るまで投資部に所属。一貫してベンチャー投資業務に従事。シード・アーリーステージを中心に、IT・ディープテック領域の投資候補先発掘、投資実行、投資後の支援業務を担当。投資先への常駐実務経験も有する。主な投資担当先は、GOKKO、バックテック、Gaudiy、キャディ等。

中間プレゼン 発表チーム

各チームは、「誰にどんな課題があり、それをどう解決するのか」「収益はどう確保するのか」を自分たちで考え、それぞれのアイデアをプレゼンしました。緊張しながらも堂々と発表する姿は、とても頼もしく感じられました。
全11チームの発表内容の概要は、以下の通りです。

チーム名:OASIS
テーマ: 高卒就職者向け支援サービス
概要: 高卒就職を目指す高校生が感じるサポート不足を解消するためのサービスを提案。中小企業とのマッチングを促進し、就職活動の支援や進路指導の充実を目指す。

チーム名:Beaconic
テーマ: 高校生と地元企業をつなぐプラットフォーム「BEACONIC」
概要: 高校生と地元企業・スポーツチームをつなぐ活動の場を提供。孤独感の解消や地域活性化を目的とし、応援活動やインターンシップを促進。

チーム名:良本彩香
テーマ: 静岡観光活性化「高校生ガイドツアー」
概要:高校生が地元ガイドとして活躍し、観光客に静岡の魅力を伝える「高校生ガイドツアー」を提案。民泊も組み合わせ、静岡の魅力を知ってもらう。

チーム名:山田・西本・伊藤
テーマ: 高校生向けライドシェアアプリ
概要: 移動コストを抑えるライドシェアサービス。安全性を重視し、ゴールド免許保持者による運転や24時間監視体制を導入。

チーム名:アーヴィン
テーマ: 英語学習支援サービス
概要: AIやバイリンガル講師を活用した英語学習プログラムを提供。初心者にもわかりやすい内容で、英語力の向上を目指す。

チーム名:Green Tea Girls
テーマ: 日本茶の海外進出支援
概要: 静岡茶の輸出促進を目指すサービス「Agentea(エージェンティー)」。書類作成代行や輸出基準の対応を通じて、茶農家の海外市場進出を支援。

チーム名:PERRY
テーマ: パフォーマーとイベント運営者のマッチングサービス
概要: 駆け出しのパフォーマーが活動機会を得られるプラットフォームを提供。投げ銭や視聴数を活用したマネタイズモデルを検討。

チーム名:かっちゃん
テーマ: 産業医シェアリングサービス
概要: 従業員に合った産業医をマッチングするサービスを提案。アクティブなプログラムを取り入れた新しい健康管理方法を目指す。

チーム名:庭志
テーマ: 造園職人の教育支援サービス
概要: 若手造園職人の学びの場を提供。現場体験や講師陣による指導を通じて、造園業界の課題解決を目指す。

チーム名:音治
テーマ: 音痴解消アプリ
概要: 音域測定や特訓モードを備えた音痴改善アプリ。音楽を楽しむための機能を提供し、音痴へのコンプレックス解消をサポート。

チーム名:道知るべ
テーマ: 学生の「やりたいこと」実現支援アプリ
概要: 学生が抱える「やりたいことが実現しない」という課題を解消するプラットフォーム。仲間探しやプロジェクト実現のための機能を備える。

表彰された3チームのプレゼン

3位 チーム名:良本彩香(静岡観光活性化「高校生ガイドツアー」)
静岡県の観光活性化を目指し、高校生が地元のガイドとして活躍する「高校生ガイドツアー」を提案しました。このアイデアは、静岡を訪れる観光客が抱える「どこに行けばよいか分からない」との悩みに着目して生まれました。高校生の若さと土地勘を活かし、観光客に現地の魅力を伝えるとともに、観光客との交流を通じて、静岡県を「深く知り、肌で感じてもらう」ことを目指します。さらに、民泊サービスを組み合わせる構想も発表しました。ガイドを務めることで高校生は学びや経験を積めるほか、総合型選抜入試にも役立ちます。スライドには静岡県の名所の写真が散りばめられており「県の魅力を知ってほしい」との熱意が感じられるプレゼンでした。

2位 チーム名:Green Tea Girls(日本茶の海外進出支援)
静岡茶生産量は減少し、取引価格も低下している状況に、県内の茶農家は危機感を抱いています。解決策につながる手段の一つが、海外へ静岡茶を輸出することです。しかし、食品であるお茶の輸出には様々な手続きがあり、書類の作成が必要です。輸入国の農薬基準の影響も受けます。ここに注目し、輸出に関係する書類作成を農家の代わりに行い、日本茶が好きな外国人と、海外進出ができない茶農家をつなぐ代行サービス「Agentea」(エージェンティー)を提案しました。海外で高まる健康志向や禅的なイメージにより、お茶は人気の飲料です。茶農家と海外市場をつなぎ、静岡茶の販路拡大を目指します。

最優秀賞:チーム名 音治(音痴解消アプリ)
発表者が音痴に悩んでいることから生まれた「音痴解消アプリ」です。主な機能には、音域測定による歌いやすい曲の提案、音程やビブラートを練習できる特訓モード、実戦モードなど。すでに一人カラオケやボイトレアプリといった音痴克服手段があるものの、ボイトレは通う手間があり、一人カラオケは周囲の目が気になるデメリットがあります。対して「音治」は自分の部屋で使えるため、利用のハードルは格段に下がります。発表者は「音治によって多くの人々が音楽を楽しみ、自信を持ってほしい」と目標を語りました。スライドにはアプリのインターフェイスを手書きで表現し、聞き手がイメージをしやすい工夫を凝らしていました。

審査員は、3チームについて「顧客を具体的にイメージできていた点が評価できる」と述べました。「誰のどんな課題を解決するのかを明確にし、ヒアリングを重ねることでサービス内容をさらに具体化していた」と付け加えました。

審査員のコメント

各チームのプレゼン終了後、審査員2人から発表者にさまざまな質問が投げかけられました。「提示した課題は本当に正しいのか?」「どうやって集客するのか?」「収益化の方法はどう考えているのか?」といった鋭い質問もあり、高校生たちは驚いた様子でした。

また、ヒアリングや調査をして課題と解決策を見い出し、人前で堂々と発表した高校生たちに「素晴らしい発表でした!」と大きな拍手を送っていました。

締めくくりには、「最終発表会まで時間があります。顧客になり得る人がどれだけいるのか、その人たちが実際にお金を支払うのかを深く考えてみましょう。市場規模や収益性を数字で具体的に試算し、事業計画をよりブラッシュアップしてください」とアドバイスをしました。

まとめ

2日間のFuJIスタートアップツアーは、多くの学びを得て密度の濃い時間となりました。実際にスタートアップの現場や企業を訪問して、高校生たちが憧れや刺激を感じているのが印象的でした。
また、2日目の中間発表会は、8月のスタートアップキャンプ以来のプレゼン機会となりました。審査員からのアドバイスを吸収しようとする姿勢や、他のチームの発表に刺激を受けて、さらにモチベーション(闘志)が高まった様子が感じられました。
3月の成果報告会に向け、残すところ約3ヶ月。現在のアイデアをさらに磨き上げていくチーム、中間発表を経て方針転換するチームなど、高校生たちは決意を新たに動き出します。
2025年も「FuJI」をよろしくお願いいたします!

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