【活動レポート】FuJIスタートアップツアー1日目/シリコンバレー起業家やiU大学生のプレゼンで学びを深める

2025.01.06

12月7日と8日、東京で「スタートアップツアー」が行われました。都内にある3つのインキュベーション施設と先進企業を訪問したほか、シリコンバレーでの起業経験を持つ若手起業家や学生起業家との交流を通じて、高校生たちは多くの刺激を受けました。さらに、2025年3月の最終発表会に向け、チームで考えたビジネスモデルの中間発表会も実施しました。

スタートアップツアーについて

イベント名: FuJIスタートアップツアー
開催場所: 東京都内のインキュベーション施設等(SAAI、NEXUS、MIXI、SHIBUYA QWS)
開催日程: 2024年12月7日(土)〜8日(日)

FuJIプログラムの「スタートアップツアー」は、高校生たちが東京でスタートアップの最前線を体験する2日間のプログラムです。 1日目は、シリコンバレーで起業経験を持ち、東京ドームシティで世界初のXRアトラクションを手掛ける小林大河氏の講演や、iU大学(情報経営イノベーション専門職大学)の学生起業家によるプレゼンテーションを聴き、彼らが起業するまでの経緯や考え方に触れました。2日目は、中間発表会を行い、これまでの学びを活かして各チームがプレゼンに臨みます。

1日目の主要プログラム

  • 12:00 - 13:00【シリコンバレー起業家対話会】小林大河氏 講演
  • 15:00 - 15:20 iU学生のプレゼン
  • 15:20 - 15:50 座談会
  • 15:50 - 16:00 質疑応答

講師紹介

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小林 大河氏(Potlatch, Inc 代表取締役)
2015年 早稲田大学国際教養学部卒。大学では体育会漕艇部に所属し、全日本選手権6位。3年次には、留学先のアイルランドでボート部に所属し、大学選手権準優勝。卒業後、株式会社日本M&Aセンターに入社。調剤薬局業界とIT業界を担当し、最年少で年間MVP及び管理職。ウエルシア社によるMASAYA社の買収や、JFEエンジニアリング社によるAnyTech社の買収など20件以上の実績。2020年に渡米し、Potlatch, Inc を設立。資金調達。2022年、元kaleidozone社COO(Ramsekar)を招聘し、VRトレーニング事業を開始。

【シリコンバレー起業家対話会】小林大河氏 講演

小説家になりたかった

小林氏は早稲田実業中学・高校を経て早稲田大学に進学。小説家志望だったため文学部を目指したものの、説明会で講師が英語を楽しそうに話している様子を見て、国際教養学部に入りました。

親の反対にあっても、信じた道に進んだ

大学卒業後、小林氏はM&A仲介大手の日本M&Aセンターに就職しました。同社には優秀な社員が多く、たとえ短期間でも「高いスキルを持つ人と働いた経験は役に立つ」と思ったため。しかし、当時は国内でM&Aは現在ほど認知されていなかったほか、大手とはいえ同社では長時間労働が常態化していました。家族から猛反対を受け気持ちが揺らいだものの、「自分で決めた道なので、3年は見守ってほしい」と説得しました。入社後、小林氏は仕事に打ち込み、成果を追求。その結果、最年少で全社年間MVPを受賞しました。

シリコンバレーでの挑戦

小林氏の中に「新しい価値を生み出す仕事がしたい」という思いが芽生え、会社を退職し、無職の状態でシリコンバレーへ渡りました。
会社員時代の研修でシリコンバレーに行った際、さまざまな人種の人々が自由な環境で働きながら、新しい事業やプロダクトを生み出す活気ある姿に感銘を受けたことがあります。そのときから、「いつかここで挑戦したい」と強く思っていたと言います。現地ではビジネスマッチングアプリをリリースしたものの、市場の需要とのギャップから失敗。
その後、VR技術に注目し、ブロックチェーンを組み合わせたプロジェクトに挑戦するも、うまくいかずに撤退します。小林氏はこれらの経験を「失敗ではなく、次の成功につながる学び」と捉え、日本への帰国を決意しました。

日本での再挑戦

帰国の理由は、シリコンバレーで成功した移民の起業家の行動をみたことでした。彼らは、地元や母校のネットワークを活用して予め初期の顧客やユーザーを見つけており、準備をした上でアメリカ市場へ進出していたのです。
日本に戻った小林さんは、日本企業のネットワークを活用しながら、新たな挑戦を始めます。その一環として取り組んだのが、東京ドームシティでのVRアトラクション「XRミッション」の開発でした。
XRミッションの舞台は、2045年。AIが支配する世界を救うというストーリーのもと、プレイヤーは現実の風景を見ながら、目の前に現れるゲートを通り、仮想の世界に入り込むような感覚を楽しむことができます。まるで、現実と仮想の間を行き来する体験ができるのが魅力です。

iU大学生のプレゼンと質疑応答

続いては、iU大学の在校生である大濱慎恭さん、卒業生の福島翔和さんの2人が登壇し、起業の経緯やビジョンなどを語ってくれました。
iU大学(情報経営イノベーション専門職大学)は、日本初の情報と経営に特化した専門職大学として、起業家や実践的な人材を育成するために設立されました。同大学の教育プログラムは「ビジネス」「ICT」「応用技術」の3つの柱で構成されており、学生たちは最新技術や実践的なビジネススキルを学んでいます。

登壇者紹介

福島翔和さん 株式会社推しメーター 代表取締役CEO
大濱慎恭さん 株式会社DesignBirth 代表取締役CEO

プレゼンテーション

大濱さん

大濱さんは在学中、AIを活用した創業支援・業務最適化サービスを立ち上げました。このサービスは、創業者のパーソナリティやキャリアを分析し、適切な強みや分野を提案するものです。大濱さんは中学生時代にICT分野への関心を強め、独学で技術を学ぶ過程で「本質的な課題を見つけ解決すること」の重要性に気づきました。高校では起業家との出会いやピッチの経験を重ね、老舗IT企業でのインターンやシリコンバレーの起業家との交流も経験しました。
大学ではiU大学のアクセラレーションプログラム(※)に参加し、ビジネス企画やプレゼンのスキルを磨きながら、自身のサービスをプロトタイプから事業へと進化させました。また、企業連携を進める中で「挑戦し続けることの重要性」を実感し、その姿勢をプレゼンで力強く訴えました。

福島さん

福島さんは大学3年生で「株式会社推しメーター」を設立し、エンタメを軸とした事業を展開しました。「推しメーター」はYouTubeやTwitter(現在のX)と連携し、応援活動を可視化するサービスでしたが、他社プラットフォームの仕様変更に伴い、サービスはリリース後わずか1ヶ月での終了を余儀なくされました。福島さんはこの経験から「依存しないビジネスモデル」の重要性を学びました。
現在はeスポーツチームの運営やアプリ開発、VTuber制作など、多岐にわたる事業を手がけています。高校で不登校を経験した際にエンタメに救われたことから「人々を笑顔にしたい」との情熱を持って活動を続けています。
(※) iU大学のアクセラレータープログラムとは?
客員教員がメンターとなりiU生のビジネスプランを“自走できるレベル”まで引き上げる超実践型プログラムのこと。修了時には、エンジェル投資家・シードVCへのピッチを学内で行う。同プログラム出身の起業家を輩出し続けている。

パネルディスカッションと質疑応答

大濱さんは「相談できる人を早く見つけること」「失敗を恐れず一歩踏み出すこと」が重要だと述べました。福島さんは「将来の夢や目標を言葉にすることで物事が動き出す」とアドバイスしました。

高校生たちからは、「高校時代の夢」「起業のきっかけ」「失敗から学んだこと」などの質問が寄せられました。福島さんは「自分を曲げないこと」を強調し、ビジネスの現場で意見を受け入れつつも最終的には自分の判断を信じることの大切さを語りました。一方、大濱さんは「アドバイスは重要だが、結果を他人のせいにせず、自分の責任で行動し続けるべき」と述べ、主体性を持つことの重要性を説きました。

まとめ

FuJIスタートアップツアー1日目では、高校生たちがビジネスの集積地である東京で、スタートアップの最前線を体験しました。シリコンバレーでの起業経験を持つ小林大河氏の講演や、大学生ながら起業をしてビジネスを楽しむiU大学の学生の話を聞くことで、高校生たちは多くの刺激を受けたようです。「自分で事業を作る」気持ちを高めながら、2日目の中間発表会に臨みます。

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