スタートアップキャンプ1日目を終え、高校生たちは講師からの学びや仲間との交流を通じて、起業家に必要なマインドとスキルを深めました。2日目は、顧客のニーズを正確に掴むための方法や独自のビジネスプランの重要性など、さらに実践的なプログラムに取り組みました。その様子をレポートします。
2日目プログラム
2日目は「顧客理解と価値提供」をテーマに、仮説検証とユーザーヒアリング、価値提供のためのグループワーク、ユーザー体験デザインのワークショップが行われました。高校生は、アイデアをビジネスへと具体化する方法を学びました。
- 9:30 - 12:00 【Session 2】仮説検証とユーザーヒアリング
- 13:00 - 14:00 起業案作成・壁打ち
- 14:00 - 15:00 【Session 3】最適なソリューションを生み出せ!
- 15:00 - 17:00 起業案作成・壁打ち
- 17:00 - 18:00 【Session 4】ユーザー体験をデザインしよう!
2日目に学んだこと
セッション名:仮説検証とユーザーヒアリング
講師名:篠田 桂介 氏(株式会社RePlayce 共同創業者)
ビジネスアイデアはあくまで仮説であり、その仮説を確かめるためには顧客へのヒアリングが重要であることが強調されました。顧客は自分のニーズや課題を必ずしも正確に伝えられないことが多いため、顧客の言葉だけでなく、実際の行動やその行動に至る理由に注目することの大切さが伝えられました。特に、顧客が自覚していない欲求(インサイト)を見つけ出すことが、競争力のある商品やサービスの開発につながると説明されました。
アイデアの発表
セッション後半では、高校生たちが自分たちのビジネスアイデアを発表し、ターゲット顧客や解決すべき課題を考えながら意見交換を行いました。参加者のアイデアのうち「駅の3Dマップを使った案内サービス」や、「高齢者の孤独を解消するサービス」を例に取り上げ、それぞれ「誰が利用するのか」「どうやってお金を稼ぐのか」という具体的な議論が展開されました。
セッション名:最適なソリューションを生み出せ!
講師名:柴田 亜由美 氏(株式会社RePlayce セールスマネージャー)
先のセッションで学んだ「ビジネスアイデアは仮説である」という考え方をさらに深め、仮説を実現するための方法が紹介されました。ビジネスアイデアは、顧客の課題やニーズを正確に理解し、その解決策を提供することが重要です。そのため、顧客へのヒアリングを繰り返して仮説を検証し、改善していくことが大切だと強調されました。
提供価値と課題解決について考えるために具体例が用いられました。たとえば、「雨に濡れる」という課題に対して、傘を買う、カフェで雨宿りをするなど、さまざまな解決策が考えられます。同じ課題でも複数の解決方法があることを理解し、独自の価値を提供することが求められます。
ポイント
提供価値を考える際に役立つ「ジョブ理論」も学びました。この理論は、顧客が商品やサービスを選ぶ理由は、その裏にある欲求や課題を解決するためという視点です。たとえば、ダイヤの指輪はただのアクセサリーではなく、持つことで自分の価値を高めたいという願いを叶えるためのものです。
セッション名:ユーザー体験をデザインしよう!
講師名:柴田 亜由美 氏(株式会社RePlayce セールスマネージャー)
このセッションでは、「体験のデザイン」をテーマに、商品やサービスの差別化の重要性が説明されました。単に見た目や機能をデザインするだけでなく、顧客が実際に感じる「体験」をどう作り上げるかが競争に勝つためのポイントです。商品が提供する体験を考える際、有名なトースターの例が紹介されました。普通のトースターがただパンを焼くのに対し、そのトースターはスチーム機能でパンをふわふわに焼き上げ、焼きたてのパンをお店で買うような体験を提供します。
グループワーク
続いて、高校生たちは「最高の朝食体験」を考えるグループワークに挑戦しました。各グループはそれぞれのアイデアを発表。例えば「山小屋での朝食体験」を考えたグループは、山の頂上で朝日を見ながらおにぎりを食べるという、自然の中での特別な朝食を提案しました。他のグループからは、世界のさまざまな朝食を提供するキッチンカーというアイデアも飛び出しました。
まとめ
2日目は、仮説検証、価値提供、ユーザー体験デザインという実践的なテーマを通じて、高校生たちはビジネスアイデアを形にするための重要なプロセスを学びました。顧客のニーズを深く理解し、仮説を検証して価値を創出する手法や、商品やサービスに新たな体験価値を加えることの大切さを実感しました。グループワークを通じて、高校生たちは意見を交換し、アイデアを磨き上げる中で、仲間との協力の重要性も改めて学びました。
また、キャンプ開始前に持っていたアイデアから方針転換したり、「個人参加だけど別のチームに加わりたい!」という高校生が現れるなど、既に仲間から刺激を受けている様子も垣間見えます。
3日目は、ユーザーヒアリングなどより実践的な活動をしながら、プレゼン大会に向けてビジネスアイデアを具体化していきます。